大学校長特別講座「おもしろ理数科」(第5回)開催

奥田孝一大学校長が、学生に難しくない理数科的なお話をする特別講座「おもしろ理数科」。第3回目は9月14日、続く第4回目は9月28日に開催していました。今回の第5回目は10月13日とほぼ2週間おきの連続開催です。続いて開催していた方が、前回のことを忘れていないので、そのほうがいいのかもしれません。

1 開催日時

令和4年10月13日(木) 16:15~17:00

2 開催場所

兵庫県立但馬技術大学校 本館2階 センター教室2

3 講師

兵庫県立但馬技術大学校 大学校長 奥田孝一

4 内容(趣旨)

前回はコンピューターの内部で行っている演算がテーマでした。今回は、ウイルスや細菌を事例に、小さなものを見るための方法、そして、「光」の性質、最後に、中世時代の天動説、地動説について説明がありました。

5 講座の様子

まずは、ここ数年、猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症のお話。COVID-19と呼ばれますが、そのウイルスの大きさは100nm(ナノメートル)。

ここで単位のお話。n(ナノ)は10億分の一のこと。なので、1nm(ナノメートル)をミリで表すと、100万分の1mmになります。この間を埋めるの単位がμm(マイクロメートル)。1000nm(ナノメートル)が1μm(マイクロメートル)です。

では、昔、大勢の人が亡くなったペスト菌やコレラ菌の大きさはどのくらいでしょうか。およそ20μm(マイクロメートル)。20,000 nm(ナノメートル)なので、コロナウイルスと比べるとだいぶ、大きいのがわかると思います。

 

では、小さい物を見る時はどうしていますか? 虫眼鏡、そして、もっと小さい物を見る時は顕微鏡を使うことになります。中世に流行したペスト、19世紀以降に流行したコレラは大きな被害をもたらせましたが、その時は何が原因か、わかっていませんでした。その後、19世紀末、顕微鏡でペスト菌やコレラ菌が確認できるようになり、その原因がわかり、その予防策も見つけられました。

 

では、コロナのウイルスは顕微鏡で見えるでしょうか? 実は見えません。光の特性は「波」と「粒子」と言われていますが、私たちが見ることができる光(可視光と言います)の波長が380~760nm(ナノメートル)と、コロナウイルス100nm((ナノメートル))より大きいためです。顕微鏡では、380nm(ナノメートル)より小さい物は見えないのです。なので、ウイルスを見ることができるようになるのは、電子顕微鏡が発明される1930年代になります。

電子顕微鏡はなぜ、より小さい物が見えるのでしょうか。これは電子という、より波長の小さいものをぶつけるからです。ただ、空気中には窒素や酸素などの分子があり、電子が分子にぶつかってしまうと反射してしまうので、実際は真空状態にして電子を飛ばしています。

 

中世、ガリレオが天動説を唱え、宗教裁判で裁かれたのはご存じかと思います。この天動説がなかなか世に認められなかったのが、年周視差というものが確認できなかったからです。地球が太陽の周りを回っているのであれば、遠くの星の位置が半年間で少し、ずれるはずです。これを年周視差といいますが、非常に小さな値で、当時はこれを計測できませんでした。これがわかったのは19世紀になってからです。

 

 

次回は11月1日(火)に開催します。是非、ご参加ください。

Categories: News